2012年9月2日日曜日

個人主義の成立基盤

集団から疎外され万人が敵である状態であれば、個人主義は一定リアリティを持ち得ただろうし、個人を原点に置かざるを得ない事情も理解できる。

しかし問題は,その個人主義が意味を有する現実条件が、現在果していかほど存在するかである。

もちろん現在も出世競争や、個人の利益競争は存在する。しかし現実にはそこに懸けられる個々人のエネルギーは貧困が消滅するともに衰弱するばかりである。それどころか自然志向やフリーター志向など見られるように大衆的にそのフレームから脱出しようというベクトルの方が最早勝っているかに見える。

そのことと並行するかのごとく、金や地位の持つ力も年々衰弱する過程にある。つまり個人主義がリアリティ=人々を解放しうる輝きを持つ思想であリ得る基盤は衰弱していく過程にある。この基盤は工業生産力の発達によって貧困が消滅した以上、おそらくますます衰弱するベクトルは変わらないであろう。

実際近代思想や個人主義がおよそ輝きを有していたのは、日本においてはせいぜい40年前がピークであろう。そこからは思想や哲学は求心力を失いむしろ無思想無関心の時代に入っていった。

人間の意識や社会は最終的に観念によって導かれ統合される。とすれば基盤を喪い、衰弱する個人主義に代わる新たな観念が何よりも必要とされているのが今現在なのではないだろうか。


北村浩司 

0 件のコメント:

コメントを投稿